2020.10.23

Bell&Ross BR05 フランス新興ブランドが手掛ける拘りのアーバンウォッチ

サムネ_200722_【ピックアップ】BR05

※この記事はウォッチ買取応援団としてYoutubeにアップした動画、「Bell&Ross BR05の魅力!ミリタリーブランドが企てた本気のラグスポ時計」の書き起こしです。

ベル&ロスBR05についてそのカッコ良さの秘密、深掘りしていきたいと思います。最新作スケルトンブルーそしてローズゴールドとのコンビが出たばかりですよね。どちらもカッコいいなと思っております。

そしてBRシリーズといえばミリタリー感が強い特徴があるんですけれども、BR05はそれを急に変えてきた感がありますよね。だがしかし、実は調べてみるとそうではなく。

創業からわずか30年に満たないブランドなんですけれども、その中に独自の流れがあってそこから生まれた作品。それがBR05なんですよね。

さて、このモデル。どのようにしてブランドが誕生させたモデルなのか。ブランドの誕生背景から、BRシリーズの登場、そしてBR05が登場するまでの流れから、BR05の魅力探していきたいと思います。

目次

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ベル&ロスとは

ではまずはベル&ロスというブランドについて、お伝えしていきたいと思います。ベル&ロスというブランドなんですけれども、創業されたのが1992年ということで、創業からまだ30年経っていない若いブランドなんですよね。

ブルーノ・ベラミッシュとカルロス・A・ロシロという、二人の若者によって立ち上げられたブランドです。ブルーノはデザイナー カルロスは経営コンサル。この二人によって立ち上げられたブランドです。

ブルーノ・ベラミッシュは、デザインの学校を卒業する時、卒業制作で時計メーカーを作るという課題に取り組んでいます。そしてそこに、友人のカルロス・A・ロシロが加わるという形で、ベル&ロスが誕生したという流れです。

カルロスの方は経営コンサルでもありながら、時計愛好家ということで、特にミリタリーウォッチが大好き。その二人がタッグを組んで登場したのが、このベル&ロスというブランドになります。

ベルロス5

引用:https://www.bellross.com/ja

創業初期は、ドイツのミリタリーウォッチを作っているフランクフルトのジンというブランドと、一緒に手を組んで時計作りを開始していきました。ジンというブランドは、コンセプトは四つあり、視認性・機能性・信頼性・高精度。この四つの軸でミリタリーウォッチを作っているブランドです。

そのジンのオーナーであるヘルムート・ジンの協力のもと製品作りを開始しまして、1992年から1997年までの間提携関係を結び、ハイスペックなミリタリーウォッチ作りを行っていました。

そして97年提携が終わるわけですけれども、実はジンと共に時計作りを行っていた時というのは
今のようなベル&ロスの、いわゆる四角形の上に丸が乗っているというようなデザインではなく。ラウンド型のミリタリーウォッチを作っていました。

例えばこういったものですね。まさにラウンド型のミリタリーウォッチだと思います。ではここからBRシリーズ、どのように誕生していったのでしょうか。

BRシリーズの誕生背景

ここの背景の物語が非常に面白いんですよね。97年提携関係が終わったベル&ロスとジン。その中でデザイナーのブルーノ・ベラミッシュ、このような時計を作ろうと思っていたそうです。

『ジンと作って来たハイスペックなものを美しい実用時計にする』

こういった時計作りですね。それに対してカルロス・A・ロシロは異を唱えました。

『美しい時計を作ることには賛成だ。けれども俺たちらしい時計を作っていかないか』

その言葉ブルーノ・ベラミッシュに強く刺さったことと思います。元々はジンと共に作ってきたミリタリーウォッチ、これを実用時計という形に落としていくというやり方をしようと思っていたところに『お前の才能はそんなところでは止まらないだろう』『自分たちでできる最高のものを作ろうじゃないか』という言葉をかけたんですよね。

BR01の誕生

そしてこの二人のやりとりによって生まれたのが、BRシリーズ最初のモデルBR01というモデルです。皆さんご存知のこの形。ベル&ロスといえばこの形ですよね。

ベルロス

引用:https://www.bellross.com/ja

この形が登場したのは2005年になるんですけれども、角型時計というものは当然その時には存在するものです。そして丸型の時計というものも当然存在する。けれどもそれが融合された物っていうのは、この時計が初めてだったんですよね。

デザインのモチーフは航空計器ということで、航空機に積み込まれている計器を元に、それを時計に落としていったというデザインの作り方をしたそうです。そして、その時計のケースのサイズに合わせてベルトの太さも変えて、ラグから自然にベルトが伸びていくようなデザインにしたことで、非常に美しい時計に仕上げていったという流れになります。

この時のブルーノ・ベラミッシュ、このような言葉を残しています。

” 全てのディティールには意味と機能がある。スタイル的な要素や見せかけだけの要素をすべて削ぎ落とす。 “

こうして生まれたのがBR01というシリーズになります。この時計、世界中で大ヒットすることとなり、ベル&ロスはニッチなフランスの時計メーカーから、世界のラグジュアリーウォッチブランドへと押し上げられて行ったわけです。

この時BR01を愛用していたのは、ラルフ・ローレンなど有名なデザイナーも多数いるとのことです。

時計製造にもインパクトを与えたBRシリーズ

そしてこのBR01実は業界に与えたインパクト、このデザインだけではないんですよね。何かと言うとこのケースの作り方、切削という方法を使っています。コンピュータ制御を用いて削り出すという方法です。

2005年時点で、この切削という方法を用いてケースを作っていた時計ブランドというのは、本当にわずかしかなくて、IWC、ウブロ、モーリス・ラクロア、ベル&ロスくらいです。

こういった事にいち早くチャレンジしていたということから、ここに目を付けたのがシャネルというブランド。

ベル&ロスのデザインセンスの良さ、そしてケース製造へのチャレンジングな精神。ここに目をつけたシャネルは、資本投入という形でベル&ロスの自社工場をラショードフォンに立ち上げます。こうしてベル&ロスは、ケースの内製化を図ることができました。

そして面白い点、実はもう一点あります。ケース構造において切削という作り方の中でも、また珍しい構造なんですけれども、ケースを2ピースで作っていました。これはどういった構造かと言うと、ミドルケースと裏蓋を一体化したものに、上から蓋をかぶせるという。簡単に言うと鍋のような構造です。

鍋と鍋蓋。二つですよね。継ぎ目が無い事によって、極めて高い密閉性を実現することができます。そうすることによって防水性能、そして防塵性能というものを確保したんですよね。

加えて中のくりぬく部分。四角いケースに円い穴を開けるわけですけれども、ムーブメントは円型ですから、円い穴を空けてそこにムーブメントを収めていくという方法をとっていました。

ムーブメントのサイズに合わせて、中の穴の大きさというものを変えることができたため、ムーブメントにぴったりと合うサイズの穴を空ける、つまり中でムーブメントが暴れないんですよね。

密閉性防塵性だけでなく、耐衝撃性というものも実現していたのが、このBR01という時計なんです。

ベルロス

引用:https://www.bellross.com/ja

3ピース構造で登場した上位機種BRS

そしてここからまた進化を遂げていくわけですけれども、2ピース構造で発売されたBR01ですが、2007年には3ピース構造のBRSという上級シリーズが誕生します。

この時には2ピースではなく、3ピース構造という風にケースの構造変わっています。なぜこの構造にしたのかというところなんですが、理由は二つあると言われています。

一つは、クォーツムーブメントを搭載したかったから。クォーツムーブメントというのは、電池の交換やモジュールの交換など、裏側から行うのが非常に効率が良いとされています。表側からのメンテナンスが不可能に近いんですよね。

なので裏蓋を開ける必要があるんですよ。そうすると2ピース構造というのは、物理的ににクォーツムーブメントを積むことはできないんですよね。そういった意味で3ピース構造への進化
というものが行われました。これがまず一つの理由です。

そしてもう一つの理由。これがまた面白いんですけれども、ステンレススチールは削り出しは可能なんですが、セラミックは固すぎて削れない。そういった新しい素材を使っていくとなった時に、実はこの切削という工程だと難しかったんですよね。そのような理由から3ピース構造への進化が図られたと言われています。

結果3ピース構造、その後実は4ピースまで進化しているんですけれども、こうすることによってもう一つ大きな特性を得ることに成功しました。それが大きなサイズのムーブメントを積むことができるということ。

大きなムーブメントというのは、基本ムーブメントの上にモジュールをのせてクロノグラフ化したりとか、あとはカレンダー機能を載せたりとか、そういったいわゆる複雑機構のムーブメントですよね。

サイズが大きいので、やはり2ピース構造ですと中の穴のサイズがそこまで大きく作れない。これを3ピース4ピースにすることによって、中の空間たくさん作ることができます。大きなムーブメントを積むことができるという風になったわけですね。

ベルロス

引用:https://www.bellross.com/ja

ケースの多層化はパテック・フィリップも行ったアプローチ

この2ピースから3ピース4ピースへと変わっていった流れなんですけれども、実はこのアプローチ90年代後半にある有名な時計が行っていたアプローチと全く同じなんです。

パテック・フィリップ アクアノートです。アクアノートは1997年ノーチラスの弟分として誕生しました。パテック・フィリップ ノーチラスと言うと、1970年代に登場したラグジュアリースポーツモデルです。

実はノーチラス、発売当時から長い間2ピース構造のケースが使われていました。そこに97年にアクアノートという弟分が誕生したんですけれども、そのアクアノートは3ピース構造なんですよね。

この時なぜアクアノートが3ピースにしたのか。この理由は、2ピース構造というのは、非常にコストが高くなってしまうということがあった。それプラス、複雑機構のムーブメントを積みたかった。という理由があったみたいなんですよね。

アクアノート

引用:https://www.patek.com/ja/

結果ノーチラスからアクアノートになった際、3ピース構造のケースが使われるようになり、後にノーチラスも3ピース構造へと切り替えられています。そうすることによって、今現在クロノグラフや年次カレンダーそしてムーンフェイズなど、複雑機構を積むことができるようにまで
進化したという流れなんですよね。

まさにこの流れ全く同じ形で踏襲したのがBRシリーズなんですよ。なかなか面白いですよね。

そしてもう一点。実は同じ時期、ウブロのビッグバンというモデルがありますよね。ウブロのビッグバンはサンドイッチ構造という作り方なんですけれども、ウブロの場合は色々な素材を使って時計作りをしたいという思いがあったんです。

なので、ケース構造はサンドイッチ構造、つまりパーツの数を増やすことによって、それぞれ違った素材を使うことができるようにするというのがウブロの狙いでした。

そしてベル&ロス、どうかと言うとBRSシリーズ3ピースにした時には、セラミックのケースを
使ってるんですよね。2ピース構造では難しかったセラミックという素材、これを3ピース4ピースにすることで使えるように改善したこのアプローチの仕方。ウブロビッグバンと同じなのではないでしょうか。

ベルロス

引用:https://www.bellross.com/ja

ロレックスが手本?基本デザインを変えずに表情を変える技

そしてBRシリーズまだまだ面白い点たくさんあります。最新作BR05の方で見ていきたいと思います。まずどうでしょう。こちら今登場しているSSのモデル。スケルトン以外で3色展開されています。

ベルロス

引用:https://www.bellross.com/ja

ベルロス

引用:https://www.bellross.com/ja

ベルロス

引用:https://www.bellross.com/ja

ブラックとシルバーそしてブルーという、3色のモデルが登場しているんですけれども、こうやって見るといかがでしょう。同じデザインなのに、文字盤の色が違うだけで全く違った顔立ちですよね。

またブラックの文字盤だけミニッツサークル(文字盤の外周部分に細かい目盛)が刻まれています。元のミリタリーテイストを、ブラックだけは残しているんですよね。そしてブルーとシルバー。こちらにはミニッツサークルはないんですよね。

こういった文字盤のデザイン少し変えるだけ、文字盤のデザインの色を変える、そして少しだけデザインを変えるだけで表情を非常に多様なものにできる。このアプローチの仕方、どこかで見たことあるなと思いませんか?

これ実は、ロレックスが得意としている手法なんです。こちら今デイトジャスト3本並べてみました。いかがでしょう。

デイトジャスト

引用:https://www.rolex.com/ja/

同じモデルなのに、やはり文字盤のデザイン違うだけで、全然違った表情を見せてくれますよね。

最新作BR05。こういったロレックスの得意とするフェイスデザインを、ちょっとした工夫で変えるという技も駆使してますね。ここも非常に面白いところだと思います。

外装デザインと仕上げは雲上ブランドを見本に

そしてまだまだあります。BR05外装デザイン、細かく見ていくとどうでしょう。

フェイス面正面から見た際には、ヘアライン仕上げが強く施されています。しかし横から見てみるとどうでしょう。実はベゼルの角の部分面取りが施されていて、そこにはポリッシュ加工が丁寧に施されている。というような仕上げの仕方をしてきています。

そしてブレスレットの部分も見てみましょう。ブレスレットのコマ、2種類の仕上げが施されています。真ん中のコマ、顔が写りそうなぐらい綺麗なポリッシュ加工が施されています。しかし外側はヘアライン仕上げなんですよね。ミリタリーテイストの中にラグジュアリーを置く。というような作り方をしてるんですよ。

ベルロス

引用:https://www.bellross.com/ja

このブレスレットのデザイン、そしてベゼルの縁の磨き方。それからベゼルに止められた意味のあるビス。この辺り見てみていかがでしょう。三大ブランドのラグジュアリースポーツ
思い浮かべませんか?

先ほど登場したパテックフィリップのノーチラス。そしてオーデマピゲのロイヤルオーク。ヴァシュロン・コンスタンタンのオーヴァーシーズ。やはり正面から見た際、ヘアライン仕上げが目立つんですけれども、ひとたび角度をつけるとポリッシュ加工の部分がキラキラと輝く。

ノーチラス

引用:https://www.patek.com/ja/

三大ブランドのラグジュアリースポーツが取り入れている、サテンとポリッシュの仕上げ分け。こういったところをしっかりと踏襲してきてるんですよね。

そしてケースサイズも40MMですから、決して大きくもなく小さくもない。厚みもわずか10MMほどということで、いわゆるラグジュアリースポーツ、この三大ブランドのラグジュアリースポーツと同じぐらいのサイズ感なんですよ。

どの時計にも似ているようで似ていないアイコニックなデザイン

なんですけれども、やはり面白いのは、どこからどう見てもベル&ロスだよねって分かるこのアイコニックなデザイン。四角の中に円というデザインなんですよね。

さらによく見るとなんですけれども、リューズガードもしっかりついてるんですよ。こういったところにミリタリーテイストを残しつつ、しっかりとアーバンウォッチ、ラグジュアリースポーツウォッチに仕上げ直してきてる。というところがすごいんですよね。

しっかりと時計自体もキャラクターを持っているんですけれども、意外にもどんな服装にも合うように作られているなということに気づかされます。

着ける人が好む服装であったりとか、パーソナリティに合うようにということで、キャラクターがありつつもキャラクターを消せるようなデザインに仕上げているらしいんですよね。

ベル&ロス、実はこういう仕事が非常に得意なんだなということが見てわかるかと思います。スイスウォッチでもなくドイツウォッチでもなく、日本の時計ともまた違いますよね。

フランスの時計ブランド。それも時計師ではなく、デザイナーとビジネスコンサルタント。この二人が立ち上げたっていうところから、ここに行き着いたというストーリーが非常に面白いブランドだと思います。

ベルロス

引用:https://www.bellross.com/ja

まとめ

最新作BR05、非常にかっこいいモデルだと思います。最新作スケルトンですからね。スケルトンの文字盤を使うということは、やはりその他のデザインの部分にも自信がないとできないことだと思います。

そして最新作コンビモデルもありますね。ローズゴールドという素材を使っています。パテック・フィリップやロレックスなどが好んで使う素材ですよね。イエローゴールドよりも温かみのある落ち着いた輝きのゴールド素材です。

このBR05というモデル。ベル&ロスのこれまでの集大成のような気がしますよね。ここから2年後の30周年記念という所に向かっていくんだろうなと想像できますよね。

ここまでの仕上げをしてきて、SSモデルで55万円ほどというのも、魅力的なポイントだと思います。