2020.01.07

【基礎知識 vol.4】ベゼルとは|腕時計の基礎知識・基礎用語

※この記事はウォッチ買取応援団としてYoutubeにアップした動画、「時計に欠かせない3つの役割を担うパーツ『ベゼル』とは|腕時計の基礎知識・基礎用語」の書き起こしです。

毎週1ワードずつ、時計の基礎知識・基礎用語をお伝えしていくコーナー。第四回目の今日は、『ベゼル』について、お伝えしていきます。Bezelというのは、直訳すると『斜面』とか『溝』という意味なのですが、時計のベゼルというと、今出ている画像、黄色で色付けした部分のことを指します。

ベゼルの主な役割は、時計フェイス側からの蓋、風防ガラスの保護という構造的な役割。そして文字盤で表示しきれない何らかの数字の表示という、機能的な役割があります。構造と機能。

この2つの大きな役割を果たしながらも、もう一つ注目したいのは、そのデザイン。文字盤や針と同じように、ブランドやモデルごとに個性があって非常に面白いパーツなんです。ここでは、ベゼルの種類を大きく3つに分けて、その機能およびデザインをご紹介して参ります。

目次

大きく3種類に分かれるベゼル

では、早速。ベゼルの種類、大まかに3つに分けるとこちら。

左から、
1、数字なしのベゼル
2、数字ありで回転するベゼル
3、数字ありで回転しないベゼル

数字がないタイプと、数字ありのタイプ。数字ありは、回転するがどうかの違いで、さらに2パターンに分けてご紹介していきます。

(1)数字なしのベゼル

まずは、パターン1。数字なしのベゼルから見ていきます。このタイプは、ドレスウォッチやシンプルな3針スポーツで多く用いられます。例えばこちら。ロレックスのデイトジャスト36という時計ですが、非常にシンプルなベゼルを使用しています。クラシカルで上品な印象を受けますよね。

また、このタイプは、時計としての機能をベゼルに担わせる必要がないため、自由度高く、いろいろな形状にしたり、模様を入れたりすることも出来ます。こうするとどうでしょう。これ、先ほどと同じ、ロレックスのデイトジャスト36という時計です。先ほどお見せしたものとは、ベゼルだけが異なります。その他の部分、文字盤や針、インデックスは同じです。

並べて見ましょう。どうですか?

先にお見せしたのは画像左側。スムースベゼルと呼ばれる、ツルっとしたデザイン。クラシカルな印象。丸みがある分優しさや温かみも感じられます。そして、後から見せたのは画像右側。フルーテッドベゼルと呼ばれる、カッティングが施されたデザイン。こちらは、ドレッシーで煌びやかな印象です。どちらも数字なしのベゼルですが、デザインの違いで受ける印象が全く異なりますよね。

デザイン的に最も面白いのは、この数字なしのベゼルなのかも知れませんね。中には、その自由度を活かして、ブランドアイコンとして確立しているものもあります。特にこちらの3本は有名どころ。

左は、オーデマ・ピゲのロイヤルオーク。8角形のビス止め構造は、20世紀初頭に活躍したイギリスの戦艦ロイヤルオーク号の舷窓がモチーフです。

真ん中は、パテック・フィリップのノーチラス。変形した8角形という特殊な形状に、メリハリをつけた表面加工が特徴的ですね。

そして右は、ヴァシュロン・コンスタンタンのオーヴァーシーズ。6つの凹凸を持つ多角形デザインは、一目でそれと分かるインパクト。

どれも、この形といったらこのブランドのこのモデル!という、強力なイメージが確立されています。

さらに、こんな個性的なものもあります。

画像左は、アーティアというブランドのGUN105という時計。ベゼルには、ぐるりと一周、彫金が施されています。

右は、ウブロのビッグバン・ワンクリック マーク・フェレロ。可愛らしいカラーストーンをぐるりと一周セッティングしています。

手作業による1点ものであったり、希少な宝石を使ってみたり。こうした工夫が出来るのも、数字なしベゼルならではのメリットですね!

(2)数字あり回転ベゼル

続いて、パターン2。数字ありの回転ベゼル、見ていきましょう!このタイプは、時計としての機能の一部を、ベゼルが担っています。

文字盤内に書ききれない数字や、書くとややこしくなってしまう数字を、ベゼル側に記載。そうすることで、混乱なく、読み取れる情報が増える、というわけです。

回転するベゼルは、2タイプ。両方向に回転するものと、片方にしか回転しないものがあります。

画像は、どちらもセイコープロスペックスのLXラインですが、左は24時間計を備えたトラベルウォッチ。ベゼルは両方向回転式。右は、300mの防水性能を有するダイバーズウォッチ。こちらのベゼルは、逆回転防止機能というものが付いており、片方にしか回転しません。

なぜ、ベゼルの回転の仕様に違いがあるのかというと、時計の機能が違うから。ベゼルが担う機能的な役割も、それによって変わってくるんです。

こちらの時計のベゼルは、24時間計の針と合わせて使います。24までの数字が刻まれているのは、そのためです。旅行先などでセカンドタイムを読み取るのに使いますが、行き先によって、ホームタイムからの時差がプラスなのか、マイナスなのかが変わってきますよね。操作上、プラス側にもマイナス側にも回すため、両方向に回転する仕組みになっています。

片や、逆回転防止機能を有したダイバーズのベゼル。こちらのベゼルは、分針と合わせて、潜水時間を計るために使用します。ベゼルの数字が60までなのは、その時間を分で読むからです。そして、大事なのは、なぜ片方にしか回転しないのかということ。

これは、潜水中に誤ってベゼルが回ってしまった際、命の危険があるからです。潜水中、もし誤って触れて回ってしまったとしても、残りの潜水可能時間が短く表示されるほうにしか動かないようになっている、というわけです。

回転するベゼルには、こんなものもあります。画像は、ブライトリングのナビタイマーB01。

両方向に回転するベゼルで、航空計算尺と呼ばれる仕様です。こちらは針と合わせて読むのではなく、文字盤外周の数字と、ベゼルの数字を組み合わせて使います。

使い方、少々複雑なので今回は割愛しますが、これで何が出来るのかというと、2桁の掛け算と割り算が出来ます。小型飛行機のパイロットが、飛行距離とスピードから所要時間を算出したり、残りの燃料でどこまで飛べるかを確認したりするために使用するそうです。

(3)数字あり無回転ベゼル

続いて、パターン3。数字ありで回転しないタイプのベゼル、見てみましょう。こちらも数字が刻まれており、時計の機能の一部を担っています。先ほどの回転するベゼルとの大きな違いは、時分針ではなく、秒針やストップウォッチの針と合わせて使うということ。常に0秒位置を起点とするため、回転しない構造になっています。

画像は、オメガのスピードマスター・プロフェッショナルという時計。このベゼルに刻まれた数字は、タキメーターと呼ばれるもの。スピードマスターに装備されたストップウォッチの針と合わせて、平均時速を読み取ることが出来ます。

その他、少しマニアックなものも。

画像左は、オメガのスピードマスターCK2998。脈拍数を測るパルスメーターベゼルを搭載しています。このベゼルを装備した時計は、別名ドクターウォッチと呼ばれます。

右は、ユンハンスのマイスター。光と音の速さの違いから、その発信地点までの距離を測る、テレメーターという仕様。何に使うのかというと、、、砲撃してくる敵までの距離を測るというもの。さすがに現代では使うことはない機能ですね。使うとしたら、花火大会で打ち上げ地点までの距離を測るとか?マニアック過ぎる。笑

まとめ

以上、本日は腕時計の基礎知識『ベゼル』について、お届けいたしました。最後の最後に、これも紹介しておきたい。回転するし、数字が必要なはず、、、なのに、アレンジしてしまったパターン。ロレックス ヨットマスター キャンディ。こんな豪華な遊びも、面白い。