2020.01.15

【基礎知識 vol.5】文字盤とは|腕時計の基礎知識・基礎用語

※この記事はウォッチ買取応援団としてYoutubeにアップした動画、「あなたはどれが好き?時計の輪郭『ケース形状』|腕時計の基礎知識・基礎用語」の書き起こしです。

時計の基礎知識・基礎用語をお伝えしていくコーナー。第五回目の今日は、『ケース』について、お伝えしていきます。ケースというのは、時計の機械が収まっている部分。機能として、防水そして防塵という役割を最低限クリアしていれば、後は自由にデザインできる部分です。ここでは、ケースの形状について、どんなものがあるのか、わかりやすい時計をピックアップしながら、確認していきたいと思います。

目次

ケースの種類(一覧)

まずはケース形状、どんなものがあるのか、ざっと見てみるとこんな感じ。ラウンド、オーバル、レクタン、スクエア、トノー、クッション、オクタゴンなど。たくさんありますね。一つ一つ、当てはまる時計を紹介しながら、特徴見ていきましょう。数が多いので、リズムよくいきますね。

ラウンド、丸型の時計

まずは、ラウンド。丸型です。ドレスから、シンプルスポーツ、ダイバーズ、クロノグラフまで。どのジャンルの時計にも存在する、一番ポピュラーな形状です。

画像左は、パテック・フィリップのカラトラバという時計。ドレスウォッチの王者ともいえるモデルです。そして右は、ロレックスのデイトナ。1926年にロレックスが開発した『オイスターケース』と呼ばれる、密閉性の高いラウンドケースを使っています。

ご覧の通り、ラウンド型は、シンプルなドレススタイルにもなりますし、スポーティーなスタイルにもなります。時計として、オーソドックスな形ゆえ、どんなスタイルにも化ける。

ケース以外の、例えばベゼルであったり、文字盤であったり。他の要素でどうにでも変身できるというのは、ラウンド型ケースの非常に大きなメリットですね。

オーバルタイプ、楕円型の時計

続いて、オーバルタイプ。楕円型です。

画像左は、オーデマピゲのミレネリー。横に広いオーバルタイプ。手首に対して垂直方向に大きいので、存在感が強く、目立つデザインです。そして画像右は、カルティエのベニュワール。こちらは、縦に広いオーバルタイプ。手首と水平方向に長い形状なので、スリムで控えめなデザインです。

ブレスレットと合わせて、ファッショナブルに楽しめそうですね。オーバルは、女性的な印象が強いためか、メンズモデルは極少数しか存在しません。大半がレディースモデル、またはユニセックスモデルです。

ちなみ、厳密にはオーバルではない、変形した個性派も存在します。

画像左は、パテック・フィリップのゴールデン・エリプスという時計。これはメンズウォッチですね。長方形に近い感じですが、角はなく丸い形状です。

真ん中は、ブレゲのクイーン・オブ・ネイプルス。これはレディースモデル。一見すると縦長のオーバルですが、よく見ると卵型になっています。

そして右もレディースモデル。ブルガリのセルペンティ。こちらは、半楕円といいますか、楕円を半分に切って丸くした感じ。それぞれに個性がありますが、やはり総じて優しい印象がありますね。

長方形、レクタン型

続いては、レクタン型。長方形です。ラウンドに次いで多い形なので、非常に多くのモデルが存在します。有名どころでいうと、こちらの2つですね。左が、カルティエのタンク。右は、ジャガールクルトのレベルソ。

画像はどちらも男性用ですが、同じデザインで女性用モデルも展開されています。

非常に汎用性が高い形状ですが、弱点もあります。それは、ラウンドケースのように、ベゼルによる機能の追加が出来ないこと。デザインの幅も狭まるため、ドレス系のラインナップが多いのが特徴です。

しかし、ベゼルがゴテゴテできない分、ケース本来の美しさと、文字盤デザインに自然と目がいく。そこを思いっきり楽しめるのが、レクタンケースのいいところですね。

正方形、スクエア型

続いては、スクエアケース。正方形です。スクエアケース、代表的なものはこの2つ。左は、カルティエのサントス。世界初の男性用実用腕時計として登場した、名作ウォッチです。真ん中は、タグホイヤーのモナコ。スクエアケースとして、初めて防水機能を有したレーシングクロノグラフです。そして、右はベル&ロスのBR-03。スクエアケースにラウンドのベゼルを乗せた変化球。

オーバルケースの縦長なのか横長なのかという話と同じですが、先ほどのレクタンと比べると、横方向に広いデザインになる分、こちらのスクエアの方が存在感があります。加えて、オーバルの時と違うのは、角がハッキリしていること。力強く、男性的なイメージになりますね。

樽型、トノー型

続いては、トノー型。木の樽の形状です。トノー型というと、代表作はもうこれでしょうね。90年代を代表するヒットモデル。フランク・ミュラーのトノーカーベックス。形がそのままモデル名になっています。

オーバルでもなく、レクタンでもない独特の形状。クラシックスタイルとカジュアルスタイルの融合。気負わず楽しめる高級時計といった感じでしょうか。

ちなみ、トノー型の歴史は古く、1912年には既にヴァシュロン・コンスタンタンが製作していました。腕時計のルーツは、懐中時計であったため、最初はラウンド型からスタートなんですよね。

1900年代初期までは、王侯貴族向けのものと、軍用のもののみが作られていました。その後、1911年にカルティエがスクエア型のサントスを一般発売。そして、画像のトノー型が1912年に登場して、1919年には、またカルティエですが、レクタン型のタンクを発売しています。時代の経過で並べると、面白いかも。

こんな感じですが、スクエア、トノー、からのレクタンという流れなんですね。この時代は、デザインの潮流が、有機的なアール・ヌーヴォーから、幾何学的なアール・デコに変わる時期だったわけですが、正方形と長方形の間に、少し丸みのあるトノーが挟まっている。まさに過渡期って感じですね。

クッション型

そしてそのまま、次のケース形状に入っていくわけですが、こちら。クッション型です。画像は、ヴァシュロン・コンスタンタンがアメリカ市場向けに作ったドライビングウォッチ。さっきの時系列にこれを加えるとどうなるかというと、こちらの登場は1921年。デザインにおいて、カルティエが先に潮流を作っていたとはいえ、この行ったり来たり感がいいですね。ここまで含めて、過渡期だったんだろうなと、思わせてくれます。

これ以上掘り下げると、基礎知識からどんどん離れてしまうので、一旦この辺で区切りますが。笑 また別の機械に、デザインの時系列みたいなところはまとめてみたいと思います。ブランドを超えてのデザインの歴史、面白そうですよね。

話を戻して、クッション型。この辺りも有名どころです。左が、パネライ ラジオミール。イタリア海軍向けに作られ、第二次世界大戦で実際に使われた本気の戦場ウォッチ。右も同じくパネライ。こちらは第二次世界大戦後に作られたルミノールというモデル。

クッションケースの場合、文字盤とベゼルは丸なので、フェイスの印象はラウンドと近いかも知れませんね。ベゼルも丸型なので、機能の追加が可能なのも、ラウンドと同じ特徴です。

ただ、ケース形状として見た場合には、肩があってがっちりした印象です。実際、ケース横壁の厚みも出せるので、内部への衝撃や振動の伝わり方は、ラウンドよりも緩和されます。ドライビングウォッチやミリタリーウォッチなどで使われているというのも、この構造ゆえでしょう。

八角形、オクタゴン型

続いて、オクタゴンケース。八角形です。画像左は、オーデマ・ピゲのロイヤルオーク。オクタゴンと言えば、真っ先に思い出すモデル。八角形のビス止めケースは、ブランドのアイコン的な存在です。右は、パテック・フィリップのノーチラス。スクエアに見えなくもないですが、よく見ると8つの角があります。こちらも唯一無二な存在。角が増えた分、構造上ケースの密閉性を保つのが難しくなります。単にデザインだけでマネできない、技術力があってこその、この形なんですね。

まとめ

以上、本日は腕時計の基礎知識『ケース形状』について、お届けいたしました。今回はケース形状。ケースの、形状。としてご紹介してきましたが、途中できっと気になっていた方もいるのではないかと思うのが、ケースの素材について。これはこれで、たくさんの種類があるので、また別の機会に取り上げたいと思います。

それと、この部分。ここはラグといって、ケースの一部ではありますが、ここもまたいろいろな形があって面白いんですよね。ラグ形状もまた別の機会にご紹介したいと思います。腕時計の基礎知識、次回以降もお楽しみに!