2020.02.19

【基礎知識 vol.9】ベルト(レザー編)|腕時計の基礎知識・基礎用語

更新

※この記事はウォッチ買取応援団としてYoutubeにアップした動画、「革ベルトの魅力はドレス要素とコスパの良さ|腕時計の基礎知識・基礎用語」の書き起こしです。

毎週1ワードずつ、時計の基礎知識・基礎用語をお伝えしていくコーナー。第9回目の今日は、『ベルト(レザー編)』です。時計を腕に巻き付けるためのパーツ、ベルト。腕時計は、かつて小型飛行機のパイロットが、懐中時計に革や布の紐を括り付け、それを手首に巻いたことが起源です。

目次

手に巻かない限り腕時計ではない。ベルトがあることによって『腕時計』というものが成立しています。物理的に絶対に欠かせないパーツです。

それと同時に、ベルトは時計の見た目にも大きく関わっています。実は文字盤側よりも、ベルト側の方が、人の目に触れる面積が大きい。故に、ベルトの素材やデザインは、フェイスデザインと同じくらい時計の印象を左右するものなのです。

この記事では、数ある腕時計のベルトの中から、レザー製のものに絞ってご紹介していきます。レザーベルトの特徴、物理的なメリットデメリット、そしてデザインについて、解説していきたいと思います。

ベルト素材について

ではまずは、ベルトの素材について。どんなものがあるのか、ざっくり見てみましょう。高級ブランドで使用されるベルト素材、大きくはこの5パターンがあります。

  • レザー(牛革、ワニ革など)
  • ラバー(合成ゴム)
  • 金属(ステンレス、ゴールドなど)
  • セラミック
  • ファブリック(ナイロン、PPなど)

共通して求められる物理的機能は、一言でいうと、丈夫であること。引っ張られた時に千切れないか。ぶつけたときに割れないか。摩耗に強いかなど。防水時計に使う場合は、水への耐性も必要です。

高級時計では、これらの基準が高く設定されており、それをクリアできる素材のみが、ベルトに用いられます。

それぞれに特徴、そしてメリットデメリットがあります。表でまとめたものをチェックしてみましょう。この中から、今回お話していくのは、レザーベルト。牛革やワニ革を使用したベルトです。

レザーベルトの特徴

レザーベルトは、審美性が高く、スーツやシャツなど、きちんとした服装と相性がよいことから、ドレスウォッチで多く使われる仕様です。

スーツスタイルに金属ベルトの時計という組み合わせも、決して合わなくはないのですが、レザーベルトを持ってくることで、より落ち着いた大人な印象を作ることができます。

参考までに、同じ時計でも、レザーベルトなのか、金属ベルトなのかで、ここまで大きく見た目が変わるという画像を載せておきますね。

いかがでしょう。金属ベルトももちろん格好良いのですが、レザーベルトの方が悪目立ちしにくく、スーツスタイルに溶け込んでいます。革靴や革製のバッグなど、同じ質感やカラーで合わせると、よりスタイルにマッチしたものになりますね。

特に黒革のベルトは、2針または3針の薄型ラウンドウォッチと組み合わせることで、タキシードや燕尾服、ブラックスーツなどを着用するフォーマルシーンでも使用することができます。

どうですかこの風格!黒革のベルトは、どんな時計とも相性良く合わせることが出来て、ドレス要素を加えてくれるという、非常に便利なアイテムです。

ちなみに黒以外のレザーベルトは、どんなものがあるかというと。茶、こげ茶、ブルー、グリーン、イエロー、レッドなど、多種多様なバリエーションが販売されています。革の質感も多様。型押し模様や縫い方も様々です。

ちなみに、少し前に私もブルー型押しレザーベルトに交換しまして、文字盤カラーに合わせてのチョイスだったのですが、なかなか満足しております。

個人の感想ですが、金属ベルトだった時よりも、スーツスタイルでの使用に適した感じがしています。代わりに、プライベートでの使用頻度は減りましたが。笑

代表的なレザー素材3つ

レザーベルトの面白い所、まだありまして、それが何の革なのかということ。

代表的なのは3つ。カーフ(牛革)、リザード(トカゲ革)、クロコダイル(ワニ革)があります。

もっとも多く使われるのは、カーフ(牛革)。艶感のあるものから、マットなものもあり、型押しなどで模様を付けたものもあります。わざと使い古した質感を出したヴィンテージ加工のものもあったり、幅広いバリエーションが楽しめます。

カーフは、パイロットウォッチにも多く使われるベルト素材です。冒頭でお話した腕時計の起源。かつてパイロットたちは、懐中時計を革紐で手首に巻き付けました。その名残もあると思いますが、革のグローブや革のヘルメットなど、他の装備品と相性が良いということもあるのでしょうね。

それに、価格が安いということも、パイロットウォッチにとっては大きなメリットなのかも知れません。他の装備品と同じように、雑に使って、もしダメになってしまっても、気負わず交換できる。コスパの良さで選ばれているというのも、あるかと思います。

そして、カーフ以外の2つ。リザードとクロコダイル。どちらも爬虫類特有の鱗模様が魅力です。クロコダイルの革ベルトは高級品なので、牛革の倍以上の値段がしてしまいますが、独特の凹凸感と、使い込んだ時の艶感は、他の革では出せない美しさがあります。どの部分の革を使うかで、一本一本表情が異なることも、楽しめる点ですね。

リザードのベルトは、細かい鱗模様が特徴。クロコダイルほどのインパクトはないので、落ち着いた雰囲気を演出したい時には良い選択肢になると思います。薄く硬い質感と、軽量なのことも特徴です。

こうして見て見ると、、、レザーベルト、奥が深いですね。

何の革のどんな色のベルトを合わせるのか。非常に多くの組み合わせから、気に入る一本を探すというのは、悩ましくもあり、楽しくもあります。

レザーベルトの注意点

最後に、レザーベルトの弱点と言いますか、取り扱う際の注意点をお伝えしておきます。レザーベルトは、他のベルト素材に比べて、寿命が短めです。1年~3年に一度、交換の時期が訪れます。

特に、水と汗には弱く、例えば夏場に長時間着け続けると、変色や臭いの原因になってしまいます。水や汗にさらされた際は、乾いたやわらかい布で水分をふき取り、直射日光の当たらない場所で、よく乾かすようにしましょう。

かといって、極度の乾燥もNG。自然素材なので、非常にデリケートなんです。適度に革用のオイルを塗ることもおすすめです。乾燥によるひび割れを防ぐことができます。

また、使い始めの時期は、革特有の硬さが気になるという方もいるのではないでしょうか。手首の形に馴染むまで、シャキーンという感じで、浮いてしまうんですよね。着けていないとき、軽く曲げるようにマッサージしてあげると、より早く馴染むので、ぜひやってみてください。

まとめ

以上、本日は時計の「ベルト(レザー編)」、お届け致しました。次回は、「ベルト(メタル編)」。レザーよりも様々な形が存在します。素材もいろいろです。お楽しみに!