2020.02.25

【基礎知識 vol.10】ベルト(金属編)|腕時計の基礎知識・基礎用語

更新

※この記事はウォッチ買取応援団としてYoutubeにアップした動画、「自在なデザインと頑丈な作りが魅力!メタルバンドの特徴とは|腕時計の基礎知識・基礎用語」の書き起こしです。

毎週1ワードずつ、時計の基礎知識・基礎用語をお伝えしていくコーナー。第10回目の今日は、『ベルト(金属ベルト編)』。ステンレススチールやゴールドで作られている時計のベルト、またの名をメタルブレスレットについて。ご紹介していきたいと思います。

目次

(前回、ベルト・レザー編をお送りしておりますので、まだご覧になっていない方は、そちらから見ていただくと、よりわかりやすいかと思います。)

ベルトの種類

さて、まずは簡単におさらいから。腕時計は、かつて小型飛行機のパイロットが、懐中時計に革や布の紐を括り付け、それを手首に巻いたことが起源です。

こうして始まった時計とベルトの関係ですが、時代と共に革や布以外の素材でも作られるようになり、現在高級時計で使われるベルト素材は、大きく5パターンにまで増えています。

素材によって、それぞれ特徴が異なることも、興味深い点ですね。この中から、今回は金属ベルトについて、その特徴、メリットデメリットなど、見ていきたいと思います。

金属ベルトの特徴

先ほど素材別の特徴をまとめた表、お見せしましたが、同じ金属ベルトという括りの中でも、ステンレススチールやらイエローゴールドやらと複数の種類があり、それぞれに異なる特徴があります。

そこまで小分けにしてしまうと、話がややこしくなってしまうので、今回は金属素材別の特性には触れず、金属ベルトとして共通する特徴のみ、ご紹介していきますね。

共通する特徴は、この3つです。

  • 長寿命である
  • デザインの自在性が高い
  • 重量が重い

特徴1:長寿命

1つずつ、詳細説明していきます。まずは、長寿命であるということ。

前回レザーベルトの場合は、『1年~3年に一度は、交換が必要。』とお伝えしました。レザーは物理的なダメージにめっぽう弱い。特に水や汗は最大の弱点とされ、日常のみの使用だとしても、時間と共に傷みが生じてしまいます。裏側が剥がれてしまったり、フチがひび割れてしまったり、縫い目がほつれてしまったり。そうなったら、交換するしか方法はありません。

対して、金属ベルトはどうでしょう。ステンレススチールにしてもゴールドにしても、強度が高く、熱にも強い。そして、水や汗に対しても、高い耐性を持っています。直接水に晒しても、大きな問題はなし。ステンレススチールの場合は、海での使用も可能。また、ちょっとやそっとのダメージでは、浅い傷程度で済んでしまいますし、大抵の浅傷は、磨きをかけてしまえば新品同様に蘇らせることも可能です。

定期的にメンテナンスをすることで、40年50年と非常に長い間、それ一本で乗り切ることができる。長寿命で、交換の手間もコストも発生しないというのは、大きなメリットですね。

丈夫で長寿命。故に、金属ベルトは、主にスポーツウォッチなど、アクティブなシーンでの使用が想定される時計で多く使用されます。

代表格は、やはりダイバーズウォッチでしょうか。潜水作業中の使用を想定しているため、水や衝撃に強い特性が非常に活きるジャンルです。

あとは、ロレックスのデイトジャストや、オメガのレイルマスターなど、日常使用向けの時計でありながらも、アクティブなシーンもこなせる。ワーカーのための実用時計もそうですね。

と言いつつも、金属ベルトが使われる時計のジャンルは、アクティブに寄ったものばかりではありません。こちらは、オーデマ・ピゲのロイヤルオークという時計。ジャンルでいうと、ラグジュアリースポーツウォッチ、またはスポーティウォッチという括りに属します。

この時計、防水性能は50m。一般的なスポーツウォッチの防水性能は100m。ダイバーズウォッチであれば200m以上です。50mというのは、日常生活防水の範囲内。つまり、スポーツシーンでの使用は想定されていないということになります。なのに、なぜ金属ベルトなのか。

それは、デザインの自在性が高いという、2つ目の特徴が活きるためです。

特徴2:デザインの自在性が高い

金属ベルトは、レザーやラバー素材のベルトと異なり、コマと呼ばれる小さな金属パーツが連結する構造になっています。コマは、金属の塊から切削したり、鋳造したりして作られるため、デザインの自由度が高い。どんな形にするか。どのくらいのサイズのものを、何個連結させるのか。さらには、どんな表面仕上げにするのかなど。無限の組み合わせから、そのモデル専用のものを作ることができます。

自由度高く、ブランドのオリジナリティやアイデンティティを強烈に表現できるというのは、作り手側が金属ベルトを選ぶ大きな理由の1つになっているのではないでしょうか。

また、使う側にとっても、どのブランドの時計か、どのモデルかなど、一目でそれと分かるデザインは、所有欲を満たしてくれるポイントですよね。オーデマ・ピゲ ロイヤルオークの金属ベルトは、まさにそれ。

ヘアライン仕上げが施された表面と、丁寧に面取りされたエッジ部分。フラットで薄い形状ながら、立体感のあるデザイン。動きに合わせて、キラキラと輝く、ラグジュアリーなベルトです。

ブランドまたはモデルを象徴するデザインとして、金属ベルトの形状に固有の名称が付けられているケースもあります。

一部ご紹介しておきますね。固有名詞が名付けられたものについて語ると、時計ツウな感じを演出できますので、ぜひ使ってみてください。笑

まずは、ロレックスのスポーツウォッチに使われる3連コマタイプのベルト『オイスターブレス』。カチッとソリッドな印象ですが、しなやかさと丈夫さが両立されいる優れものです。

続いても同じくロレックスから。ノンスポーツモデルと一部のスポーツモデルに使われる5連コマタイプの『ジュビリーブレス』。オイスターブレスよりもコマが小さく、きらきらと輝くラグジュアリーな雰囲気。しなやかに動くため、コマ一つ一つが手首に張り付くような着け心地が特徴です。

続いて、ブライトリングの『ナビタイマーブレス』。独特な斜めカットのコマが特徴。このデザインは、着け心地だけでなく、携帯性にも役立っています。外した際、ここまで小さく折りたためてしまう。ポケットに入れて持ち運ぶ際も、邪魔になりません。

また、デザインの自在性という意味で、こんな表現が出来てしまうのも、金属ベルトならでは。こちらは、パテック・フィリップのノーチラス・クロノグラフという時計。ベルトには2種類のコマが使われており、大きいコマがステンレススチール製、小さいコマはローズゴールド製です。

コマ単位で、素材や表面の仕上げ方を変えることができるんですね。これは他のベルト素材ではできない、ユニークなポイントだと思います。

特徴3:重量が重い

さて、最後は特徴3つ目。重量について。金属ベルトは、レザーやラバーなど、他の素材に比べて、重量が重いことが特徴です。特に重いのは、プラチナとゴールドですが、高級ステンレススチールの無垢材を使用したベルトもなかなかの重量感です。ケースが大きいダイバーズウォッチともなると、総重量で200gを超えるものも。重い時計は、長時間着けていると疲労を感じてしまいます。

その重さが好きという方もいらっしゃると思いますが、反対に重さが気になって選ぶのを躊躇してしまうという方も、同じくらいいるのではないでしょうか。

そこで、金属ベルトの時計を選ぶ時のコツをお教えします!そのコツとは、重心とフィット感が最適なものを見つけることです。時計の重さが気になるというのは、実は総量としての重さよりも、重心が掴めていないことによる不安定さに原因があります。

例えば、ケースが大きくて重い時計に、薄い金属でできた軽量かつフィット感の良くないベルトが付いていたらどうでしょう。時計の頭の方に重心が偏ってしまうので、手を動かすたびに時計が回ってしまい、落ち着いてくれない。そうなると、非常に気になってしまいますよね。

金属ベルトの時計を選ぶ際は、ケースとベルトの重さのバランスが取れているか、そしてベルトのコマ形状が自分の手首にしっかりフィットしてくれるか。この2点をチェックするようにしましょう!

高級ブランドの現行モデルの場合、大抵は2点ともしっかり配慮されており、ケースとベルトの重量バランス、フィット感ともに良好になるよう図られています。それでも、人によって感じ方は異なりますし、サイズ調整も大事なポイントです。時計店で実機を試着して確かめてから、購入を決めることをおすすめします

まとめ

以上、本日は「時計のベルト(金属ベルト編)」について、お届け致しました。最後の最後に、こんな合わせ技もご紹介。シャネルのプルミエールという時計。

金属製のチェーン型ベルトに、革紐を編み込んだデザイン。デザインの自在性が高い金属と、適度な張り感がある革が、見た目の美しさと抜群の着け心地を作り出しています。両者の良い所が活かされたベルトですね。これは、オシャレ過ぎる。