大人の嗜みであるバイクツーリング。ここでも腕時計とともに、素晴らしい時間を過ごしたいものですね。しかしながら、バイクツーリングで機械式時計を使うには、振動や天候など、様々なハードルがあることをご存知でしょうか。今回は、バイクツーリング時に着用する機械式腕時計の選び方を、3つのポイントで解説していきます。
目次
- 悪天候と機械式時計
- 走行時の振動は機械式時計の大敵
- 走行時の時間の見やすさは必須
- まとめ
電池で動くクォーツ式の場合、カシオのG-SHOCKを筆頭に、ほとんどのモデルがこの条件を満たすと思いますので、今回は機械式腕時計に絞って見ていきます。
ツーリングには付き物『悪天候』と機械式時計
では早速、1つずつ見ていきましょう。
天候は操作できるものではないので、ツーリング途中で予想外の悪天候を経験したことがあるライダーも多いはず。
徒歩や車での移動の際はさほど気にならない天候でも、バイクだと生身で感じるので、見た目以上にキツいときありますよね。
私も春先に薄着で那須まで出かけたら、まさかの雪が降ってきて遭難するかと思った経験があります。
人がツライということは、時計もバイクもツライということ。なので、ツーリング時に求められる時計のスペックとして、悪天候に強いことがあげられます。
防水性能や耐塵性能を考えると、過酷な条件化での使用が想定されたスポーツモデルが『悪天候に強い』ということに該当するかと思います。
悪天候に強い時計を探すには
『悪天候に強い』時計を探す場合、元がなに用に作られた時計なのか、歴史を辿っていくと、その特性が見えてきます。
ロレックスなら、冒険家のために作られたエクスプローラーシリーズや、ダイバー用に作られたサブマリーナシリーズ。
オメガなら、イギリス軍での使用をルーツに持つシーマスターシリーズ。
パネライなら、イタリア軍での使用をルーツに持つラジオミール。
などがわかりやすい例です。
ちなみに、豪雨時に時計にかかる水圧は、静止状態で最大2気圧と言われていますので、時計の防水性能でいうと10気圧以上(100m以上)あるものをチョイスしましょう。
走行時の振動は機械式時計の大敵
続いて大事なことは、振動への耐久性能です。
機械式時計最大の弱点と言われているのが、『振動』そして『磁気』なのですが、磁気においては多くのブランドがすでに克服済みで、今はオメガがマスタークロノメーターという独自基準を設け、業界を引っ張っぱる形になっています。
では、振動はどうかというと、以前別の記事でも紹介しましたが、ロレックスの正規店にて実際に聞いた内容を以下に載せておきます。
Q:ハーレー乗るときに着けたいのですが、やっぱり振動で狂ったりしますか?
という問いに対し、
A:ロレックスは機械式時計ですので、もっとも苦手とするのが振動なんです。もちろんロレックスは丈夫な時計です。最近ではパラフレックス・ショック・アブソーバーを備えたモデルが、振動に強くなっています。しかし、あくまでテンプという時計の心臓部分を支えているだけになります。ですので、ハーレー乗車時の使用は、メーカーとしてはおすすめできません。都内某所ロレックス正規店・店長さまより
というわけで、いくら丈夫なロレックスとはいえ、メーカーとしてはやはりOKとは言えないようです。(ロレックスの方、ご丁寧にお答えくださりありがとうございました。)
走行時の振動に強い腕時計はあるか
ただ、実際に機械式時計を愛用しているハーレー乗りの方はたくさんいますし、
ハーレーほど振動がないバイクもたくさんあります。
なので、ここはあきらめずにいきたいところ。
先ほどの防水性能100mという条件に追加して、また歴史やルーツから、振動する現場での使用を想定して作られた時計を探してみました。
▼ボールウォッチ エンジニアⅡ
鉄道作業用に作られた3針デイトウォッチです。
振動と衝撃は、同じものではありませんが、鉄道での揺れや振動も考慮して作られているモデルなので、バイク走行時と状況は似通っているものと思います。
ブランドの公式サイトでは、耐衝撃性のページが用意されており、時計を振り子ハンマーで叩く様子が写されていました。
▼Sinn 917 GR
ラリーパイロット用のクロノグラフモデルです。
ラリー走行というと、おそらくバイクでのツーリングとは比にならないくらい揺れるのではないでしょうか。
Sinn はドイツの腕時計ブランドですが、ドイツらしい真摯なものづくりの姿勢が生み出す時計は、どれも実用的でかっこいいものばかり。
こちらの 917 GR は、実際に車のハンドルに括りつけて、走行時の振動に耐えうるかテストしています。
テストの様子はブランド公式サイトにてご覧ください。
→ https://sinn-japan.jp/rough_road_simulation.html
こちらのモデルはもう一つおすすめポイントがあって、リューズとプッシャーの位置が通常と逆についています。
セパレートハンドルのバイクに乗ってる方は特に、手首にリューズがあたって痛い経験をされているはず。これならいつも通り左手につけても痛くないですね。
走行時の時間の見やすさは必須
最後に気にしたいポイントは、視認性です。
数年前はビッグフェイスのスポーツモデルが流行っていましたが、最近は多くのブランドウォッチが小型化してきています。
ですが、バイク走行時はパッとみて時間が読めないと、事故につながる恐れもあるため、視認性という意味で、小さすぎる文字盤のものはおすすめしません。
文字盤サイズは大きめがベター
私事ですが、エクスプローラー1の旧型36mmを使用していた時期がありますが、バイク走行時はかなり見づらかった記憶があります。
なので、3針などシンプルなものであれば39mm径以上。スポーツベゼルを装備したものであれば42mm以上は欲しいところです。
文字盤カラーと針の色も視認性に関わる
サイズのみならず、文字盤カラーや針も、視認性に大きな影響を与えます。
文字盤カラーで見やすいのは、やはりスポーツモデルで使用されることの多い、黒系や白系。
ドレスモデルで使われるような、シャンパンゴールドやシェル、その他装飾が入ったダイヤルは、見づらいのでおすすめしません。
まとめ
以上、バイクツーリング時に着用する機械式腕時計の選び方、紹介してみました。
今回、3つの条件で探ってみましたが、それ以外にも着けやすさにも配慮したいところ。冬場はグローブが厚手のものに変わりますので、その際にブレスレットのサイズが簡単に変えられるものの方が便利ですよね。
なので、レザーブレスやラバーブレスなど、穴で調整できるものの方が使いやすいと思います。
もちろんメタルブレスのものでも、ワンタッチで調整可能なものもあります。例えばロレックスのシードゥエラーは、工具無しで最大46mmのサイズ調整が可能になっています。
こういった機能は、お店に行くと教えてもらえますので、ぜひ時計店で訪ねてみてくださいね。