※この記事はウォッチ買取応援団としてYoutubeにアップした動画、「ショパール アルパインイーグル!本気の復活ラグスポウォッチ!」の書き起こしです。
本日は、こちらの時計のご紹介です。ショパール アルパインイーグル。昨年秋に発表された新作モデル。ショパールが本気でラグジュアリースポーツウォッチを作ってきましたね。単純にかっこいいですし、かなり完成度高い時計だと思います。これはあらためてお伝えしておかなければと思いました。
発売から数か月が経ち、時計店でも見つけることができるようになってきたショパール渾身の一本。その魅力をたっぷりとお伝えしていきたいと思います。
目次
アルパインイーグルのモデル概要
では、まずはモデルの概要、さっとお伝えしていきますね。モデル名は、アルパインイーグル。2019年秋に発表された新作モデルです。
ケースサイズは41mmのラージと、36mmのスモールの2種類があり、それぞれ異なる自社製ムーブメントを搭載。どちらもスイスクロノメーター認証を受けており、高級時計として十分な精度を誇ります。
サイズ展開の他、素材と文字盤カラーも複数あり、全部で10本がラインナップ。好みに合わせて、バリエーションを選ぶことができます。
気になる価格ですが、もっともスタンダードなスチール製41mmサイズモデルで、メーカーサイト掲載定価¥1,470,000。実勢価格はもう少し安く、2020年1月現在95万円~120万円のレンジで買うことができます。
さて、今回アルパインイーグルの魅力をお伝えしていくわけですが、お伝えしたいポイント、3つほどあります。デザイン、素材、誕生ストーリー。この3つですね。一つずつ、ご紹介していきます。
アルプスの自然に対する敬意と情熱から生み出されたデザイン
まずはデザイン。これはもう見ていただくのが早いと思います。どうですか!この美しさ!デザインコンセプトは、アルプスの山々とそこに生息するイーグル。アルプスの自然に対する敬意と情熱から生み出されたデザインとのこと。
象徴的なのは、文字盤のサンバースト模様。これは、イーグルの虹彩をイメージしたものです。真鍮製の文字盤に幾重にもメッキされた塗料。そこに深めの彫りが施こされています。まるでイーグルの目に映り込んだ、アルプスの地形の様な印象も受けますね。
針の形状は、羽毛をイメージしているとのことで、秒針は矢じりのような形状に仕上げられています。ケースとブレスレットの形状も特徴的。ケースは両側にリューズガードがあるような形状で、細かく面取り仕上げが施されています。
ブレスレットも本当に細かいところまで作りこまれていますね!表面はヘアライン仕上げになっており、面取りされたエッジ部分はポリッシュ加工。
そして真ん中の列は一段高い作りになっています。リューズには、冒険家のシンボル『コンパスローズ』が施され、ここでも自然との繋がりを感じることができます。
そして、強く目を惹くポイントが、もう一つ。基本方位に各2本ずつ、計8本でビス止めされたベゼルです。
このデザインは、このモデルの原型となるこちらの時計から引き継がれたもの。この時はベゼルが丸型ではありませんでしたが、アルパインイーグルは、この特徴を引き継いで、8本ビス止めという構造を残しています。
ビス止めは、防水性能を確保するためのものですが、結果としてデザイン面でもアイコニックなものに仕上がっていますね。細かい部分、ビスの溝がベゼルの円周ラインに沿っている点も、抜かりなく作れている証です。
素材
続いて、素材について。アルパインイーグルに使われている外装素材は、ショパール ルーセント スチール A223 という金属。サージカルステンレスという医療用のメスに使われる金属ような、皮膚への刺激が少ない組成の鉄系合金です。開発には、実に4年の歳月を費やしたとのことで、ここでもショパールの本気を感じることができます。
低刺激ということ以外に、非常に硬いという特性も。その硬度は、高級時計によく使われるステンレス316Lの1.2倍。ビッカース硬度という、硬さを示す単位があるのですが、その数値で表すと223とのことです。
ロレックスなど一部のブランドが使用する最高級ステンレス904Lのビッカース硬度が、200~250と言われていますので、それに匹敵する硬さを持っている合金なんですね。
さらに、ルーセント スチール A223には、磨くと美しく光るという特徴もあります。しかしながら、非常に硬い金属であるため、その加工は手間がかかるものです。
ヘアライン仕上げにしても、ポリッシュ仕上げにしても、研磨用の砥石がダメになってしまう。何度も何度も、根気よく磨き上げていかないと、完成には至りません。
しかし、完成されたときの美しさは、まるでプラチナのよう。アルプスの氷河を思わせるような、透き通った輝きを見ることができます。素材まで含めて、完成されるデザインなのですね!
親子3代に渡るアルパインイーグル誕生までのストーリー
さて、ここまで、ほぼほぼデザインの話題だったかと思います。最後にお伝えしておきたいのは、このモデル誕生に至るまでのストーリーですね。アルパインイーグルの原型となったモデルは、先ほどお見せしたサンモリッツという時計。それが発売されたのは、1980年のことでした。
当時、腕時計業界はどんな感じだったかというと、、、1969年にクォーツ式という大量生産ウォッチが登場し、一旦は下火になった機械式時計の市場が、再び再燃し始める頃ですね。1970年代には、ラグジュアリーウォッチのパイオニアともいうべき、2本の名作が登場しています。
オーデマ・ピゲ ロイヤルオークと、パテック・フィリップ ノーチラス。クォーツウォッチ登場後、新たに生まれた、スポーツシーンでも時計を使いたいというニーズ。そこに応えるべく誕生した、ステンレス製の機械式時計です。今でこそ当たり前になったステンレス製の高級時計ですが、当時は異例。高級時計は、ゴールドかプラチナというのが当たり前な時代だったんですね。
しかしながらこの2本、皆さんご存知の通り、見事なヒット作になりました。そんな時代潮流。どんな気持ちで見ていたのか。1980年、まだ22歳の青年だった、現ショパール社長のフリードリッヒ氏は、当時のショパール当主であり、自身の父でもあるカール・ショイフレ氏に、サンモリッツのアイデア、そして製作への情熱を明かします。
ブランド初となるスポーツウォッチであり、やはり初となるステンレス製の時計の製作。若き才能の大きなチャレンジは見事に成功し、サンモリッツは以降10年間、ブランドのベストセラーとして君臨しました。
そこから約40年。新作ウォッチ、アルパインイーグルの発案は、サンモリッツを生み出したフリードリッヒ氏の息子、フリッツ・ショイフレによるものでした。ある日フリッツは、父のデスクにあるサンモリッツを見つけ、現代に蘇らせたいと、強く思ったそうです。時代は繰り返すといいますが、40年前のやりとりがまたしても。次の世代の親子間で行われたわけですね。
このやりとり、公式プレスリリースの文面には、『粘り強い説得』と表現されていたので、そう簡単なものではなかったように思えます。最後は父の根負け。息子の情熱、信念が実る形となりました。
面白いのは、腕時計の流行りが今またラグジュアリースポーツに向いていることだと思います。ロイヤルオークは2019年にモデルチェンジを行いました。ヴァシュロンコンスタンタンのオーヴァーシーズは2016年にモデルチェンジ。さらにノーチラスも含め、2010年以降は機能バリエーションも増えています。
さらには、ドイツの名門A.ランゲ&ゾーネも、2019年にブランド初となるステンレス製モデル、オデュッセウスを発表。今再び、ラグジュアリースポーツが熱い時代になっています。
1970年代~80年代のラグスポ黄金期に誕生したサンモリッツ。そこから時を経て、再び到来したラグスポ時代に復活したアルパインイーグル。親子の思いと時計業界の波が見事にリンクした名作となるのではないでしょうか。
まとめ
以上、本日は ショパール アルパインイーグル の魅力について、お届けいたしました。個人的には、このモデル、価格も相当魅力かなと思いますね。この出来栄えで、実勢価格100万円ちょっとですからね。老舗マニュファクチュールであり、ジュエラーでもある。機能とデザイン、どちらも楽しめる時計なのではないでしょうか。