2019.03.09

ウブロ HUBLOT とは|ブランド誕生の歴史と、短期間で人気を獲得した秘密に迫る

更新
ウブロの歴史

芸能界・スポーツ界の著名人に愛用者が多い、スイスの高級時計ブランド『ウブロ HUBLOT』。1979年創業と、かなり新しいブランドですが、2012年には売上額2億6,260万ユーロと、短期間で一流ブランドの仲間入りを果たしています。

新世代のブランドが、なぜここまで短期間で大きく成長できたのか。調べてみると、そこには明確なヒットの理由がありました。

ブランドの誕生から、後の代表作となる主要モデルヒットに至るまで。ウブロの魅力を歴史とともに辿っていきたいと思います。

目次

ウブロの起源

ウブロは1979年、スイス・ニヨンにて、イタリアの時計・宝石メーカービンダグループ創業者一族のカルロ・クロッコ(Carlo Crocco )により創業されました。

代表モデルには『ビッグバン』『クラシックフュージョン』の2モデルが展開されており、F1、FIFAワールドカップ、UEFA EURO、ICCクリケット・ワールドカップの公式タイムキーパー、世界野球ソフトボール連盟のオフィシャルスポンサーなど、スポーツのビッグイベントを多く支援してます。

サッカー界のレジェンド・ペレ氏や、同じくサッカーの有名選手・キリアン・ムバッペ氏、そして陸上界のレジェンド・ウサイン・ボルト氏などとパートナー契約を交わしており、それ以外にも多くの一流スポーツ選手や著名人に愛用されていることでも知られるブランドです。

野球の田中将大投手が日本人初のアンバサダーに就任したことも話題になりましたね。

そんなウブロですが、バーゼルワールドにてデビューしたのは、1980年のこと。それまで貴金属やステンレス素材のケースに、同素材のブレスレット、または本革のブレスレット、という組み合わせが主流だった高級腕時計業界ですが、ウブロが初出展したのは、天然ゴム製のラバーベルトを用いたクォーツ式の腕時計でした。

当時はクォーツショックからの立て直しを図っているブランドが多かった時代であったため、ピリピリしたムードが漂うスイス時計界では異端的な扱いを受け、あまりよく思われていなかったようです。

当然売れ行きも良くなく、唯一イタリアではその異端的な発想が受け入れられたと言われていますが、事実かどうかは曖昧です。

このように、ブランド発足時は、個性的なチャレンジを積極的に行ったことに対して、時代が味方をしない状態でした。

ビバー氏との出会いとビッグバン

しかし、ご存知の通り、いまやウブロは世界的な人気ブランドへと成長を遂げています。そのきっかけとなったのは、『ビッグバン』というモデルの登場です。

1980年のデビュー以来、徐々に経営難に陥っていったウブロ。復活の転記が訪れたのは2004年、ジャン=クロード・ビバー氏がCEOに就任したことでした。

ビバー氏は、『クォーツショック』から、名門ブランド・ブランパンを再興させた人物です。

『クォーツショック』は、1969年に日本の時計ブランド・セイコーが開発したクォーツ式ムーブメントが引き起こした、腕時計界の革命です。

クォーツ式ムーブメントは、正確な時を刻み、安価で量産が可能ということから、腕時計の在り方を変革させたとともに、機械式ムーブメントの製造業界には大きなダメージを与えました。当時スイスの時計業界従事者の人口を3分の1にしてしまったと言われています。

ブランパンの再興により、すでに時計業界で名の知れている人物であったビバー氏が、ウブロのCEOに就任したことは、マスコミの間でも話題になりました。

その注目の中、 ビバー氏によって発表されたウブロ再興へのアイデアは『ウブロの個性的な遺伝子の継続』と『フュージョン(融合)』という2点。そしてそのアイデアを形にして誕生したのが、現在も代表作となっている『ビッグバン』というモデルです。

ビッグバンは、ウブロのデザイン軸である『ビス止め構造』を継承し、これまで腕時計では主流とされていなかった素材を大胆に用いることで、かつてどのブランドにもなかったオリジナリティを築き上げることに成功。誕生から4年間で、ウブロの売上を10倍にまで引き上げることに成功しました。

ビッグバンはなぜヒットモデルになったのか

ビッグバンがヒット作となった背景には、ビバー氏のアイデア戦略が軸となり、そこに時代が大きく味方したことがあります。

ビッグバンが発売された2005年の腕時計業界は、デカ厚ウォッチがブーム。パネライなどの軍用ウォッチを筆頭に、大きく分厚く厳つい腕時計が流行していました。

ビッグバンのケース構造は、セラミックやチタンなどを別レイヤーで組み上げ、素材感を見たり触ったりして感じることができるよう設計されており、その外装は大振りです。

そのため、デカ厚ウォッチブームに上手く乗ることができたというわけですね。

様々な新素材を用いるということも話題になり、業界をざわつかせたこともビッグバン成功の理由になっています。

こうした時代と流行への感度も、ビバー氏の腕の良さと思うとゾクゾクしますよね!

ウブロの未来

ウブロは2008年以降、LVMHの傘下にありますが、クラシックフュージョン、スピリットオブビッグバンなどのモデルを発売しており、変革時より変わらない姿勢で、革新的な素材の追求を続けています。

現在は、カーボンファイバー、タンタル、タングステンなど、全13種類の素材を用いて作品作りを行っており、2010年に開発した自社製ムーブメント『ウニコ』の搭載や、文字盤面をスケルトンにしたアエロなど、新しい技術にどんどんチャレンジしています。

これからも、ますますブランドとしての実力を高めていくのでしょう。1980年代から変わらない革新への姿勢に、ようやく時代が追いついたという表現がぴったりのブランドですね!

浅いながらもスピーディに濃く築き上げられたウブロの歴史。ブランドのチャレンジと、ジャン=クロード・ビバーのセンスを感じながら、ぜひ楽しんでください!