2021.08.23

ロンジンの歴史|伝統に根ざしパフォーマンスを追い求めるエレガントウォッチ

更新
サムネ_ロンジン歴史

※この記事はウォッチ買取応援団としてYoutubeにアップした動画、「ロンジンの歴史|万博最多受賞歴を誇り、冒険とスポーツ計時で名を馳せたエレガントウォッチ」の書き起こしです。

ロンジンの歴史について、 お送りして参ります。 ブランドの起源は1832年。 スイス サン=ティミエ で誕生し、 アメリカ、スイス、フランスを中心に 世界へと広がったブランドです。 「伝統」「エレガンス」「パフォーマンス」をテーマに 時計作りを行っており、 万国博覧会での受賞歴は、なんと世界最多。 28回もの金賞を受賞しています。

皆さんロンジンのイメージっていかがでしょうか? ロンジンの代表モデルって何でしょう? ロンジンの強みとは?

これ、答えられる方は相当な時計マニアのみかと。 というのも、1983年以降、 ロンジンはスウォッチグループに属しており、 リーズナブルな価格帯を任されているんですよね。 歴史的な偉業よりも、高品質でオシャレな時計を、 良心的な価格で提供する。 今はここに重きを置いているんです。

そのためか、ブランド本来のメッセージというのは、 さほど重要ではないのでしょう。 と、今回はここにあえて 切り込んでいくわけでございます。 ロンジンというブランド、一体どのように誕生し、 どのように進化してきたのか。 本日も最後までゆっくりと お楽しみいただければ幸いです。

目次

ロンジンの現行ラインナップ

さて、まずは現在のロンジンについて。 今現在展開されているラインナップから 見ていきましょう。 現在のコレクション、全部で5シリーズですね。

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洗練された装いを演出するエレガンス。

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ブランドの基本的価値を形にした 最上級モデル。 長年の伝統を、モダンデザインで表現した ウォッチメイキング・トラディション。

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日常時計として最適なスポーツ。

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そして、原点へのオマージュ・ヘリテージ。

最も高額なものでも、60万円ほど。 リーズナブルなものですと、 10万円台から購入することが可能です。

スウォッチグループは、 価格帯によってどのブランドが作るかというのが ハッキリと決まっており、 ロンジンは主に50万円以下を担当しています。 ちなみにその上の価格帯にはオメガが、 さらにその上にはブランパンとブレゲがいる、 と言った具合ですね。

ブランドの創業

では、このコレクション。 一体どのような歴史から誕生した ものなのでしょうか。

ブランドの起源は、1832年のスイス。 オーギュスト・アガシという人物が、 レギュル・ジュンヌ&アガシ商会を設立し、 時計事業を興したことから始まります。

ブランドの創業

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この時代、マニュファクチュールという文化、 いわゆる一貫生産というものはまだありません。 マニュファクチュールが本格的に生まれたのは、 1860年代以降のお話。 同郷スイスのブランド ジャガー・ルクルトの 2代目当主エリー・ルクルトが始めたものです。

なのでそれ以前の時代、 レギュル・ジュンヌ&アガシ商会も 当時一般的だった組み立て工房として その歴史をスタートしました。

マニュファクチュールとして本格始動

ブランドがマニュファクチュールの 機能を持ったのは、1867年以降。 創業者オーギュスト・アガシから、 彼の甥であるアーネスト・フランシロンに 引き継がれてからとなります。

ブランドがマニュファクチュール

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アメリカを主な拠点としていたアガシ時代から、 フランシロンの時代には、再び創業の地 スイス サンティミエ に移転。 フランシロンは、経済学者だったこともあり、 ブランドの新たな方向性として、自社工場を作り、 当時まだ新しい概念だったマニュファクチュール化 に取り組むことを決意しました。

当時スイスの時計作りは、分業が一般的。 家族経営の小さな組立工房が、 それぞれの作業をこなし次の工房へパス。 その繰り返しで一つの時計が出来上がる。 こんな具合でした。

フランシロンは、これを非効率と考え、 伝統を切り崩すチャレンジを行ったんですね。 分業だった時計作りをひとつ屋根の下に集め、 効率的な生産体制を整えていきました。 結果、ここから、数々の歴史的ムーブメントが 誕生していくこととなります。

過去最多の受賞歴のロンジン

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冒頭でも少し触れた通り、 ロンジンというブランドは、万国博覧会において、 過去最多の受賞歴を誇ります。 マニュファクチュール化された 工場から生まれたムーブメント、 1867年のパリ万博において、 ブランドに初の受賞をもたらすと、 1929年のバルセロナ万博までに、 計10個のグランプリを受賞するにまで至ります。

こうして、家族経営の小さな組立工から始まった ブランドは、従業員数1,000人を超える大企業へと 成長していきました。 当時は各地の天文台精度コンクールにおいても、 数々の記録を打ち立てており、 今でいうところのロレックス並みの知名度を 誇っていたそうです。

ロンジンの由来

ちなみにロンジンというブランド名は、 1889年商標登録されているので、 創業から50年以上経過した後なんですよね。

ロンジンの由来

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ロンジンとは、 スイスの古語で『自然豊かな野原』 を意味しているとのこと。 創業者の名前を用いていない意図については、 ブランドサイトにも載っていませんでした。

が、おそらくこの時代、 ブランド名に創業者の名前を付けることが 当たり前すぎて、それを避けたというのがありそう。 伝統的な生産体制を変えてしまうくらいの 冒険心溢れるブランドですから、 そのくらいロックなことはしてきそうですよね。 

ちなみにのちなみにですが、 同じくらいの時代に生まれたブランドを見てみると、 1848年創業のオメガは、 ムーブメントの名称がブランド名になったもの。 1865年創業のゼニスは、 天空の頂点を意味する言葉。 1868年創業のIWCは、 インターナショナルウォッチカンパニー の頭文字。

伝統を守りながらも、 積極的に生産革新に取り組んだ 新世代のスイスウォッチ。 華の1800年代組といったところでしょうか。

冒険ウォッチへの挑戦

さて、話を元に戻して、 ロンジンが次なる転機を迎えたのは、1899年。 1800年代末~1900年代前半は、 貴族たちの間で、 冒険とカーレースが流行した時代です。

ロンジンもそれまでの実績が認められ、 冒険ブームの波に乗ることに。

1899年アブルッジ公ルイジ・アマデオ、 1904年J・E・バーニーの北極探検に それぞれ使用され、400日以上にも及ぶ 冒険を共にしました。 また1927年には、 飛行士チャールズ・リンドバーグと共に、 33時間39分にも及ぶ、連続飛行にも挑みました。

リンドバーグ氏は後に、 このような言葉を残しています。

「ロンジンの機械なしでは この探検は成功しなかっただろう」

この言葉からも、ロンジンの時計に 絶大な信頼を置いていたことがわかりますね。 リンドバーグ氏はその後、 ロンジンに特別な時計の制作も依頼しています。 どういったものかというと、 時計の針と、回転するベゼル、 そこに六分儀などを合わせて使うことで、 自分が今飛んでいる経緯度が すぐに分かるというもの。

ロンジンの時計に 絶大な信頼

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この時計は、1931年に完成され、 アワーアングルウォッチ(時角時計) という名称に。 現在も人気モデルとして、 販売が続けられています。 また、ロンジンはこの時代、 国際航空連盟の公式ウォッチとしても 採用されており、 1930年代、立て続けに4つの高機能 パイロットウォッチをリリースしています。

スポーツ計時の挑戦

また、同じ時代。 ロンジンはスポーツ計時の世界でも、 積極的に新技術の採用に力を注いでいます。

1912年スイスで行われた連邦体育祭。 ここでは、スポーツ史上初の自動計時に挑戦。 選手のスタートにあわせてクロノグラフが作動し、 ゴールと同時にストップするというもの。 簡単な仕組みではあったものの、 スピード競技の世界において、 計時方法の基礎となり、 その後の時代に大きな影響を与えています。

スポーツ計時の挑戦

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さらに1945年スイス陸軍選手権大会では、 光電子写真装置によって、 1000分の1秒の計測を初めて可能にしています。 こういった新しいテクノロジーを 柔軟に取り入れていく姿勢は、 マニュファクチュール化がなされた時代から 変わらず引き継がれていたんですね。

クォーツウォッチへの挑戦

さて、冒険ウォッチそしてスポーツ計時の世界でも 名声を手にしたロンジン。 1940年代~1950年代にかけて、 より大規模な生産体制を整え、 世界からの需要に応えていきました。

クォーツウォッチへの挑戦

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 が、きっとそれだけでは物足りなかったのでしょう。 1960年代からは、電池を使用した時計という、 また新しいジャンルの時計作りにチャレンジ。

1963年には、電池の動力によって、 機械を動かし時間を刻む機構を開発。 1965年からは、クォーツを使用した ムーブメントの製作に注力していきます。

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面白いのはこの時代、 チャレンジ精神とは裏腹に、 かなりの迷いも見えること。 1965年にはクォーツムーブメントを 完成させていますが、なぜかその後、 1967年には再び機械式に舵切しています。

あの時代、先読みすれば、 時代のニーズはクォーツであったはず。 それは1970年代に大きな成長を遂げた セイコーというブランドが示している通りです。

結局ロンジンも、1969年からクォーツの製作に 力を入れなおすこととなりましたが、 その時には既にセイコーが技術で勝っており、 結果、一時の迷いが千載一遇のチャンスを 逃してしまったんですね。

1970年代、ユニークなクォーツウォッチを いくつかリリースするも、 どれもそれまでのロンジンらしいものはなく、 人気は徐々に低迷。 経営状況も傾いていきました。

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と、まあ皆さんお察しの通り、 この後はクォーツショックによって廃業寸前まで 追い込まれ、1983年には スイスの救世主スウォッチグループに よって救済される形になるわけです。

が、経営不振になっても ロンジンの挑戦への炎は全く弱まることなく、 実はクォーツウォッチ製作への意欲、 ずっと持っていたんですよね。 セイコーの活躍に隠れてしまってはいたものの、 実はクォーツウォッチにおいても優秀な作品を多数 輩出していました。

その功績から1982年以降、 10年間に渡ってF1の公式計時を 担当するに至ります。 さらに現在も、スキーや競馬のビッグレースで 公式計時を務めるなど、 その実力はしっかり認められているという事実 お分かりいただけるかと思います。 

ロゴに込められた思い

といったところで、本日は、 ロンジンの歴史と魅力について、 見てきました。 最後にブランドロゴについてのお話も 少しだけしておきたいと思います。

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ロンジンのロゴは、『有翼の砂時計』 と呼ばれています。 これは、未来へはばたく翼と、 経過していく時間を表現しているものです。

こうして歴史を見てきたうえで、 このロゴの意味を聞くと、 なるほど!と思えるエピソード、 たくさんあったのではないでしょうか。

↓動画でもご覧いただけます。