2020.04.09

OMEGA SEAMASTER アクアテラ とは|最新スペックとデザインからその魅力を深堀り

※この記事はウォッチ買取応援団としてYoutubeにアップした動画、「OMEGA シーマスター・アクアテラの魅力|誕生背景に見るデザインとスペックのブランド戦略
」の書き起こしです。

現行のアクアテラが発売されたのは2017年。元々あったカラーに加えて、新色のグリーンが登場しました。渋いグリーンはどこか和をも感じる、素晴らしいデザインですね。

今回の新色に限らずですが、アクアテラの魅力は、ダイバーズウォッチらしからぬエレガントなデザインと、プロ仕様のスペックとが、うまく共存していることだと思います。この魅力は、一体どのようにして生み出されたのでしょうか。

目次

シーマスター アクアテラ150M 基本スペック

では、まずはアクアテラ現行モデルの基本スペックから、簡単にお伝えしていきます。基本機能は、3針デイト。防水性能は150m。ケースとブレスレットはステンレススチール製。ケース径は41mm。リューズガードはありません。

ムーブメントには、コーアクシャル・マスタークロノメーターcal.8900を搭載しており、15,000ガウスもの耐磁性能を有しています。この数字は、ロレックスのミルガウスや、ヴァシュロン・コンスタンタンのオーヴァーシーズの15倍。最近のオメガの時計は、この耐磁性の高さが大きな特徴になっていますね。

文字盤は、ウッドデッキのような横ストライプ模様。ステンレスという無機質な素材の中に、まるで竹林のような、清涼で有機的な空間を作り出しています。裏面はシースルーになっており、オメガの最新ムーブメントを覗き見ることができます。

アクアテラの魅力1、デザイン

さて、冒頭でもお伝えした通り、シーマスター アクアテラの魅力は、エレガントなデザインと性能の高さです。まずは、デザインの方から掘り下げていきたいと思いますが、単純になぜこのデザインなのか気になりませんか?シーマスターシリーズというと、こんな感じの、いわゆる一般的なダイバーズウォッチの印象が強いですよね。

しかしアクアテラはというと、、、ダイバーズウォッチに必須な回転ベゼルもなければ、スポーツウォッチの標準装備ともいえるリューズガードすらない。いたってシンプルな作りです。このデザインのルーツはどこにあるのでしょうか。原型となったのはシーマスター120Mというモデルです。

デザインの原型 シーマスター120Mとは

リューズガードこそあるものの、彫り模様の文字盤に3針デイト、そして回転ベゼルなしというデザインは、アクアテラと通ずるものがありますよね。このシーマスター120M、登場は1981年です。80年代の時計業界と言えば、クォーツウォッチの台頭から、再び機械式時計への関心が高まっていたタイミング。70年代、元気のなかったブランドも、徐々に活躍の場を取り戻し、かつての名作の復活などが盛んに行われていました。

また、オーデマ・ピゲのロイヤルオークや、パテック・フィリップのノーチラスの登場で、新たに高級スポーツウォッチというジャンルが花開いたタイミングでもありました。そんな時代に発売されたシーマスター120M。オメガというブランドが、このデザインでどんな市場を狙っていたのか。想像に難くありません。

デカ厚ブームを狙った!?アクアテラの登場

そして、後継モデルである初代アクアテラが発売されたのは、2000年代初期。シーマスター120Mから、さらにゴテゴテしたデザインをなくし、よりエレガントな仕様に。ダイバーズウォッチであるシーマスターを、アーバンウォッチへと昇華させたのが、このアクアテラというモデルなんですね。

ちなみにその際、36mm径だったケースは、41mmへとサイズアップしています。当時41mmというサイズは、一般的な高級時計よりも大きく、非常に目立つもの。これが狙ってのことか、はたまた偶然か、定かではありませんが、、、その後すぐにデカ厚ブームが到来したことで、ケースのサイズアップは強い追い風となり、アクアテラは瞬く間にヒットモデルへと押し上げられました。

アクアテラの魅力2、性能

さて、続いては、2つ目の魅力、性能について。時計の性能というと、真っ先に浮かぶのが精度かと思います。この詳細ついては、オメガの歴史というタイトルで、また後程お伝えできればと思います。今回は割愛しますね。

で、今回お伝えしたい性能はなにかというと、『防水』と『耐磁』、この2つです。1つずつ見ていきましょう。

防水性能

まずは防水性能について。これはシーマスターの歴史ストーリーからお伝えしていくのが、わかりやすいかと思います。

シーマスターのルーツは1932年。マリーンという防水ウォッチです。これは、イギリス海軍の依頼で製作されたものだったので、開発時には水深73mの湖の底に沈めるなど、実地での厳しいテストを行った後、軍へと納品されていました。そして、これが後に市販化されたものが、1948年登場の初代シーマスターとなります。

初代シーマスター

マリーン時代に培われた防水技術を活かしつつも、タウンユース用にスタイリッシュに仕上げられた初代シーマスター。ご覧の通り、かなりスッキリしたデザインだったんですよね。というのも、この時代はまだ回転ベゼルというものがなく、ダイバーズウォッチという概念もありませんでした。

一見するとドレスウォッチにも見えなくないデザインですが、性能は本格的な防水ウォッチ。その証拠に、市販化された後も、イギリス海軍正式装備品として採用されています。

その他にも、沈没船から引き揚げたシーマスターが正常に動いたとか、伝説のフリーダイバー ジャック・マイヨールが愛用したとか。シーマスターの防水性能を語る逸話は、数多く語り継がれています。

耐磁性能

そしてもう一つは、耐磁性能。これは、まさにアクアテラが登場した2000年代初期という時代背景で磨かれた性能です。なにかというと、90年代後半に起こったITバブルですね。Windows95の発売以降、世界中でパソコンを持つ人が急増。さらに、携帯電話などのモバイル機器も普及し、人々は日常的に磁気に晒されることとなります。こうした生活様式の変化から、腕時計には耐磁性能が求められるように。

そこでオメガは、コーアクシャルという高耐久・高耐磁の機構を採用。1,000ガウスの耐磁性能を有するムーブメントを生み出すことに成功します。アクアテラも、これを搭載しての発売となりました。

まとめ

以上、アクアテラの魅力について、お伝えしてきました。アクアテラの魅力である、『デザイン』と『性能』。どちらも、登場した時代や、ルーツとなる時代の背景が色濃く反映されたものなんですね。

その時々で、時代をちょっとだけ先読み?してきた結果、現代のニーズに非常によくマッチした時計になっているものと思います。新色のグリーン、定価は¥671,000。並行品の実勢であれば、もう少し安い金額で入手できるものと思います。

気になった方はぜひ、お近くの時計店で実物確認してみてくださいね!