腕時計のオーソドックスな形と言えば、丸型(ラウンドやオーバル)です。そのため、それ以外の形は異質であり、人の目を惹く存在に。今回の記事では、丸型以外のおしゃれ時計を3つほどご紹介してまいります。
目次
- 世界初の市販腕時計は丸くなかった
- ヴァシュロン・コンスタンタン ヒストリーク アメリカン 1921
- フランクミュラー カサブランカ 25TH
- ジラールペルゴ ヴィンテージ1945 ラージデイト ムーンフェイズ
- まとめ
トップ画像はカルティエ・サントスの初代モデルです。(引用:カルティエ公式サイト)
世界初の市販腕時計は丸くなかった
今現在、世の中に出回っている腕時計の大半は丸型(ラウンド型)です。
例えば、幼い子供に『うでどけいの絵をかいて』と伝えると、100人中99人が丸いタイプの時計を描くのではないでしょうか。丸型の時計というのは、そのくらい当たり前な存在です。
しかし、実はこれ、最初からそうだったわけではありません。
腕時計というものが登場したのは、19世紀末。初めは貴族用のジュエリーや、軍用のみで展開されていました。その時は今と同じく、丸いものが主流。元々懐中時計だったものが小型化されて腕時計になったためです。
その後、実用機として庶民への販売が始まったのは、20世紀の初頭。世界で最初の市販腕時計は、カルティエのサントスという時計なのですが、これがなんと丸型ではなく四角かった。
サントスの依頼主は、空飛ぶ伊達男ことアルベルト・サントス・デュモン。おしゃれに強い拘りを持つ依頼主と、王の宝石商と呼ばれたルイ・カルティエ。そのタッグが生み出す時計ですから、おそらく普通では納得できなかったのだと思います。
きっと、懐中時計を転用した軍用腕時計との差別化を図ったんでしょうね。
サントスという時計がどのような経緯で登場したのかは、下記の記事よりご覧ください。
カルティエ Cartier とは|ブランド誕生と時計コレクションの歴史
そしてサントス登場後、カルティエは続けて四角い時計タンクを発表。その流れから、他のブランドからも多くのスクエア型ウォッチが登場する流れになりました。
20世紀初頭というと、デザイン潮流がアール・デコに移ったタイミングでもあり、直線的・幾何学的なスクエア型やレクタン型というのは、時代の流行りにも上手く則していたのですね。丸くない時計がおしゃれに見えるのは、こうした時代背景にロマンを感じられるから。というのもありそうです。
ちなみにその後、丸型が主流になったのは、1932年以降。パテック・フィリップのカラトラバが登場した後の時代からになります。
おすすめ時計1、ヴァシュロン・コンスタンタン ヒストリーク アメリカン
さて、では丸くない腕時計のおすすめモデル、ご紹介していきます。
まずはこちら。3大時計の一角ヴァシュロン・コンスタンタンより、ヒストリーク アメリカン 1921。
1920年代、自動車が普及したアメリカ市場に向けて作られたモデルの現代アレンジ版です。
ケース形状は、丸型でも四角でもなく、クッション型。文字盤は、車のハンドルを持った際にも時間が読みやすいよう、傾いたデザインになっています。リューズの位置も、手首に当たらないよう配慮され、クッション型の頂点部分に配置されています。
まるで香水のビンのような、オシャレで色気ある腕時計ですね。
18Kピンクゴールド製、40mm径ケース。
定価¥4,180,000。
おすすめ時計2、フランクミュラー カサブランカ 25TH
続いておすすめ2本目はこちら。90年代を代表するオシャレウォッチ、フランクミュラー カサブランカ。シリーズ登場から25周年を記念して発売されたバリエーション。
フランクミュラーという人物は、元々は複雑機構を得意とする生粋の時計師。頑固そのものの職人さんです。
しかし、このカサブランカ。なんと企画ものとして登場。フランクミュラー本人が手掛けた機械ではなく、汎用機を採用し、ケースのみミュラー本人の拘りに沿って作り込まれたものです。
90年代は各社若年層に向けた商品を発売しており、その波に乗った形で登場したわけですが、その中でも見事に成功したのは、他に類を見ないトノー型のデザインを採用したからに他なりません。
ステンレススチール製、32mm幅ケース。
定価¥935,000。
おすすめ時計3、ジラールペルゴ ヴィンテージ1945 ラージデイト ムーンフェイズ
続いてはこちら。1791年創業の老舗ブランド・ジラールペルゴより、アール・デコ時代へのオマージュウォッチ、ヴィンテージ1945。
知る人ぞ知る実力派のブランド・ジラールペルゴ。スイスウォッチとして初めて日本に代理店を作ったブランドであり、世界で初めて軍用腕時計を作ったブランドであり、その他にも逸話は多数あり。
ヴィンテージ1945の初代モデルは、モデル名の通り1945年登場ということで、腕時計が丸型主流になってから登場した四角い時計です。
こちらは最近発売された新作モデルですが、文字盤がハーフスケルトンになっており、ムーンフェイズやラージデイトなどの複雑機構が覗けるのもいいですね。
ステンレススチール製。
定価¥1,987,200。
まとめ
以上、丸型以外のおしゃれ時計を3つほどご紹介して参りました。
丸くない時計、他にも魅力的なモデルはたくさんあります。皆さんもぜひお気に入りの1本探してみてくださいね!